しかし、仕事と言っても自分の知識を蓄えるために楽しい内容でしたが・・・
というのは、予定では明日から車検整備でお預かりするはずだったいつも御贔屓いただいております、NBロードスターのお客様から緊急連絡が入りまして、メーター内のエンジン警告灯が点灯したとの事でした。エンジン不調などの症状は無いとも事でしたが、警告灯が点灯しているのは何らかの故障が発生しているという事なので、急遽お越しいただいて診断機を繋いで、診断する事となりました。

診断機を繋いだところ、故障内容は[EGRの流量不足]との事でした。原因はEGRバルブと早合点しては素人なので、まずは修理書で[EGRの流量不足]が表示される場合の要因を探って、配線図で系統の電気の流れと関連部品を調べます。
機構的には、多分2級整備士のレベルで知識として学習していますが、EGRとはexhaust gas recirculationの略で、排気再循環システムです。簡単にいうと、排気ガスの一部をエンジンのインテークマニホールドに戻して燃焼温度を下げて排気ガスの有害物質NOxを下げるシステムですね。
実は今回お預かりする以前から、別件でスピードメーターが時々動かなくなるという症状を聞いていまして、症状が出ている時でないとトラブルシュート出来ないと判断していましたが、今回じっくり確認しようと取り組みました。
すると、どうやらRGRの作動にスピードメーターを動かしている車速センサーの信号を制御に使っている事がわかりました。
推定で、[EGRの流量不足]という不具合コードの要因がスピードメーター不動と関連づいているようだと。
実に面白いですね。こういうトラブルシュートを考えるのは。
ネットでググってあれやこれや無駄に部品を変える素人さんにはわからないでしょう。この楽しみは。
オーナー様から症状の出る状況を詳しくお聞きしましたが、再現するのには走行しながら車速信号をオシロスコープでモニタリングしながらなので、運転が疎かになると危ないので、リフト上でタイヤを空回りさせて確認します。

オシロスコープのチャンネルを2ヶ所でモニタリングしますが、なかなか症状が出ません。
EGRも車速センサーも単体点検は行いましたが異常無かったのですが、車速センサーを少しヒートガンで温めると、数値に変化が有りました。

車速センサーが怪しいという結論としましたが、パーツカタログで調べても、何処にも見当たりませんでした。不思議な部品ですね。某裏技で品番検索しましたが・・・
という事で、ゴールデンウイークはとても充実して為になったトラブルシュートでした。
錆を落として磨いて、再塗装したりのレストアも楽しいですが、例えるなら謎解きのような、知識と技術を駆使して回答を見つけるような、トラブルシュートは整備士の醍醐味です。
これだから、整備士はやめられません。